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Sekai In Futon
青い空が、太陽と微笑んでいる。彼らはいつも仲良しだ。窓をあけると風がボクの黒い髪をふわりふわりと撫でていった。いつもの癖で早く起きてしまったけれど、ボクにはもうやるべきことがない。大きな用事は昨日で終わらせてしまったから。これから何をしようか、と隣をちらりと見る。そこにはここ3日ほど起きていない綺麗な恋人。普段は、一応別々の部屋で寝ているけど、今日くらいいいだろう。いや、これからはもう、一緒の部屋で寝たっていい。髪の毛が太陽の光を反射してきらきらと輝く。光を通すと、彼の髪の毛は薄い桃色に染まる。戦場を駆ける彼の髪が赤く染まるのは好きだけれど、ボクはこの髪の色の方が好きだ。とても優しい彼を色で表しているようで。睫毛が落とす影は少し透けている。彼は、色が薄いから。こんな朝に儚げな色をした彼を見ると、ふっと雪のように消えてしまいそうで少し怖い。中身は儚いのはの字もないような人だけど。……は、くらいはあるかもしれない。身じろぎする彼を眺める。もう少ししたら起きるのだろう。さらさらとした手触りの良い髪を手でゆっくりと梳いていると、閉じられた瞳が開かれて、月と青空が顔を出す。
「おはよう祐喜」
深く眠っていた彼はどんな夢を見ていたのだろう。彼の愛する戦場を染めるような燃え滾った赤い夢か、ハツラツとした元気な黄色い夢か。穏やかな海のような青い夢をだろうか。それともいろんな色が全部混ざりあった鮮やかな色だろうか。はたまた、全てを受け入れる白い夢だろうか。傍にいる美しい彼がどんな夢を見たのかは彼にしかわからないけれど、ただ、悲しい夢を見ていなければいいと思う。黒に縛られていた日々は終わりを告げたのだ。
「これから、どんなことをしよう。」
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